IPO 銘柄の上場してからの値動きの傾向を探ってみた
2013 年 1 月以降新規上場した銘柄数は 158 銘柄
初値が公開価格の何倍になったのかを調べてみると
2 倍以上:63 銘柄( 39.87 %)
1.5 倍以上 2.0 倍未満:23 銘柄( 14.55 %)
1.4 倍以上 1.5 倍未満:8 銘柄
1.3 倍以上 1.4 倍未満:4 銘柄
1.2 倍以上 1.3 倍未満:9 銘柄
1.1 倍以上 1.2 倍未満:15 銘柄
1.0 倍以上 1.1 倍未満:17 銘柄
1.0 倍未満:19 銘柄( 12.02 %)
大儲けしたと思う基準は、人によって違うかと思いますが
倍以上になったのが 4 割。
反面、10 % も値上がりしなかったのが 1 割。公募価格割れが 1 割。
アベノミクスで、イケイケドンドンの株式相場から見れば
個人的には、必ずしも大儲けできるイメージは無いように思います。
「公募価格で買って初値で売る」のデメリット
まず抽選に当たらない。
当たっても大儲けできるかは初値を付けてみないと分からない。
の 2 点かなと思います。
よくブログなどで見かけるのが
「複数の証券会社に口座を開けたら当選確率アップ!」のステマに近い文言。
たしかに複数口座を持てば、抽選回数が増えるので可能性は上がるかと思います。
ただ、当選口数は主幹事以外は、スズメの涙程度しかありません。
しかも、いつもいつも IPO 銘柄の幹事証券になれるとも限りません。
http://info.finance.yahoo.co.jp/ipo/
大型 IPO 銘柄であれば、当選口数も多くなりますが
当然ながら人気化もしにくいので初値は低くなる傾向が高いです。
実際に公開株数が 1000 万株以上の 12 銘柄で調べてみると
初値÷公開価格の平均・最大・最少は
平均:1.01 倍
最大:1.28 倍
最少:0.85 倍
となりました。
逆に公開株数が少ない順で 12 銘柄を調べてみると
平均:2.62 倍
最大:5.22 倍
最少:1.12 倍
となりました。
平均公開株数は、178,000 株。当選口数は、1,780 口。
で、抽選参加者の数は分からないので口座数から考えてみます。
ネット専業証券の中で IPO 募集も多くて主幹事も務めるマネックス証券だと
2015 年 3月末で 939,029 口座(稼働口座数)
カブドットコム証券で
2015 年 3月末で 470,020 口座(稼働口座数)
SBI 証券は非開示。
GMOクリック証券、松井証券、楽天証券は IPO 募集がそもそも無いに等しいので省略します。
ちなみにこの3社を IPO 投資ブログでは、当選確率を上げるためにも開設しましょうと
アフィリエイトリンクを張ってます。
稼働口座全部が抽選に参加するとは思えないので
20% ぐらい参加すると仮定すると
マネックス:187,805 口座
カブドットコム:94,004 口座
主幹事だと公開株数の最少 85% ぐらい。
それ以外の幹事だと 最大 5% ぐらいが割り当てられるので
1,780 口で算出してみると
1,513 口 – 89 口
です。
当選確率は、
マネックス:0.8 % – 0.047 %
カブドットコム:1.6 % – 0.09 %
机上の空論ですが、低確率ですね。実際は、もー少し高いかと思います。
IPO銘柄の上場後の値動きを探る
さて、ここから本題です。
IPO 抽選とは違って、上場後は誰にでも自身の買いたい株価で好きな時に買えます。
ただ、大きく値上がりする反面、大きく値下がりするリスクもあります。
上場まもないので本決算を迎えて決算発表するまでにも日にちがあります。
なので、市場の声でもある株価から
IPO 銘柄の上場後の値動きを探ってみたいと思います。
ここでは、2 パターンに分類します。
上場後、上場来高値を付けて下落して行った銘柄(上場ゴール?)
上場後、一旦上場来安値を付けてから上昇した銘柄(成長株?)
に分けてみたいと思います。
前提条件:
2013 年 1 月以降新規上場した銘柄が対象。
かつ、上場日から180日を経過した銘柄に限定します。
株式分割を実施した銘柄については、分割していないと仮定します。
180 日に設定したのは、
少なくとも四半期決算は済んで公表していると思われるからです。
では、長くなりますが、書いていきます。
上場来高値から上場来安値へ落ちていった銘柄群
対象銘柄数:57 銘柄
上場初日:17 銘柄
7 日以内: 16 銘柄
14 日以内: 5 銘柄
30 日以内:7 銘柄
60 日以内:6 銘柄
90 日以内:6 銘柄
80% 近くが 30 日以内に上場来高値を付けて下落に転じています。
で、問題の下落率は
最少:-21%、平均:-33%、最大:-96%
天井を付けた後、
下落局面に入った時に底の水準を判断する目安とされる相場の格言に
「半値八掛け二割引」があります。
元値× 50%(半値)× 80%(八掛け)× 80%(二割引)= 32%
1,000 円の株価が 320 円まで下がることになります。
これを元にして底値を探ってみると
元値× 50%(半値)以下:53 銘柄
元値× 50%(半値)× 80%(八掛け)以下:40 銘柄
元値× 50%(半値)× 80%(八掛け)× 80%(二割引)以下:31 銘柄
元値× 80% 以下:15 銘柄
になりました。無残以外の何物でもないですね。
ここでの結論は、
少なくとも上場後 30 日以内に付けた高値を超えられない銘柄は買わない。
超えたとしても 10% ぐらい下落したら損切りするのが良いかもしれません。
次に、どの株価帯まで下落していくかを見てみます。
3 001 円以上:7 銘柄
2,001 円 ~ 3,000 円: 8 銘柄
1,501 円 ~ 2,000 円: 12 銘柄
1,001 円 ~ 1,500 円: 7 銘柄
501 円 ~ 1,000 円: 18 銘柄
1 円 ~ 500 円: 5 銘柄
高値次第になるからか際立った特徴は無いようです。
次は、注目度に見て行きましょう。
注目度は、ヤフーファイナンスの IPO 銘柄のページで確認できます。
このページの注目度を使います。
http://info.finance.yahoo.co.jp/ipo/
S: 1 銘柄
A: 26 銘柄
B: 19 銘柄
C: 4 銘柄
これだけだと何とも言えないので、後で使います。
最後に上場ゴールで話題になった「gumi」その主幹事である野村證券。
主幹事とは切っても切れない間柄なので、主幹事別で見て行きたい思います。
みずほ:7 銘柄
東海東京:0 銘柄
大和:8 銘柄
野村:28 銘柄
SBI:6 銘柄
日興:6 銘柄
三菱UFJ:1 銘柄
HS:0 銘柄
いちよし:2 銘柄
東洋:0 銘柄
岡三:0 銘柄
主幹事を務める件数も多いので、一概に言えないかもしれませんが
野村証券の件数が際立っているのが分かるかと思います。
こちらも後で比較に使います。
上場来安値を付けてから上場来高値を付けた銘柄群
さて、ここからは、
上場後に一旦底値を付けたあとに上昇していった銘柄の傾向を見て行きましょう
対象銘柄数:39 銘柄
上場来安値を付けるまでの日数は、以下のとおりです。
上場初日: 8 銘柄
7 日以内: 6 銘柄
14 日以内: 4 銘柄
30 日以内: 1 銘柄
60 日以内: 5 銘柄
90 日以内: 3 銘柄
180 日以内: 8 銘柄
365 日以内: 2 銘柄
365 日超: 1 銘柄
次に上場日から上場来高値を付けるまでの日数は、以下のとおりです。
上場初日: 0 銘柄
7 日以内: 0 銘柄
14 日以内: 0 銘柄
30 日以内: 1 銘柄
60 日以内: 2 銘柄
90 日以内: 2 銘柄
120 日以内: 3 銘柄
150 日以内: 3 銘柄
180 日以内: 2 銘柄
365 日以内:15 銘柄
365 日超: 10 銘柄
上場来安値を付けた日は、バラツキがありますが
高値を付けた日は、半年以内だと 14 銘柄。
半年超え1年未満だと 15 銘柄、1年以上でも 10 銘柄となりました。
次に上場してから、どこまで下落するかですが
ここでも「半値八掛け二割引」を利用したいと思います。
公募価格割れ:39 銘柄中 21 銘柄
元値× 50%(半値)以下:0 銘柄
元値× 50%(半値)× 80%(八掛け)以下:0 銘柄
元値× 50%(半値)× 80%(八掛け)× 80%(二割引)以下:0 銘柄
該当銘柄無しと言う結果になりました。
高値を付けてから下落した銘柄とは違って大きく下落しない銘柄が多いのが分かります。
まさに「山高ければ谷深し」みたいな結果になりました。
では、どこで止まったかを見ていくと
0 ~ -10%: 5 銘柄
-11 ~ -20%: 6 銘柄
-21 ~ -30%: 5 銘柄
-31 ~ -40%: 3 銘柄
-41 ~ -50%: 2 銘柄
この結果から考えると資金を分割して
一部の資金でで公募価格付近で買い始めて、買い下がっていくのがベターかもしれません。
いずれにしても公募価格から 50% を超えるマイナスになったら、問答無用で損切りです。
で、気になるのが底値を付けてからの上昇率だと思います。
平均:3.10 倍
最大:13.82 倍
最少:1.37 倍
13.82 倍!?よくみると分割実施済みの銘柄でした。
なので、分割実施済みの銘柄と分割をしていない銘柄に分けてみます。
突出して高い銘柄は除外しました。
分割実施済みの銘柄
平均:2.40 倍
最大:3.17 倍
最少:1.66 倍
分割未実施の銘柄
平均:2.81 倍
最大:7.01 倍
最少:1.37 倍
次に、どの株価帯まで下落していくかを見てみます。
3 001 円以上:9 銘柄
2,001 円 ~ 3,000 円: 8 銘柄
1,501 円 ~ 2,000 円: 7 銘柄
1,001 円 ~ 1,500 円: 9 銘柄
501 円 ~ 1,000 円: 5 銘柄
1 円 ~ 500 円: 1 銘柄
こちらも初値次第になるからか特徴は見受けられず。
次は、注目度を見て行きましょう。
S | 1 | 4 |
A | 26 | 7 |
B | 19 | 20 |
C | 4 | 8 |
ちょっと注目度が低いほうが安値から高値を付けやすい傾向が見られるかなと思います。
最後に主幹事を前述の数値と合わせて見比べてみます。
高値→安値 | 安値→高値 | 合計 | |||
野村 | 28 | 65.12% | 15 | 34.88% | 43 |
大和 | 8 | 50.00% | 8 | 50.00% | 16 |
日興 | 6 | 66.67% | 3 | 33.33% | 9 |
三菱UFJ | 1 | 20.00% | 4 | 80.00% | 5 |
みずほ | 7 | 70.00% | 3 | 30.00% | 10 |
SBI | 6 | 66.67% | 3 | 33.33% | 9 |
岡三 | 0 | 0.00% | 1 | 100.00% | 1 |
東海東京 | 0 | 0.00% | 1 | 100.00% | 1 |
いちよし | 2 | 100.00% | 0 | 0.00% | 2 |
東洋 | 0 | 0.00% | 1 | 100.00% | 1 |
野村が主幹事数ではダントツのトップです。
しかし、高値→安値となる確率が65%もあります。
主幹事になるともらえる手数料も膨大でしょうから、
業績がどうであろうと株価がどうなろうと知ったことでないって事でしょうね。
1兆円ファンドを5000億円ファンドにした過去をもつ企業だけの事はあります。
最近人気のファンドラップ口座もたかがしれているでしょうね。
それでいくと大和と東京三菱 UFJ がなんとか健闘しているって感じでしょうかね。
最後に
ある程度の傾向が見えたのではないかなと個人的には思います。
大きく儲けるのも大事ですが、大きく損をしないのも大事です。
何かの参考になれば、幸いです。