IPO銘柄を初値で売れば本当に大儲けできるのか疑問
IPO 銘柄を抽選に応募して公開価格で買う。
そして、「初値で売り抜けると大儲け!」と多くのIPO投資関連のサイトやブログで
よく記事としてみかけますが、
どれだけ大儲けできるのか確率論的に調べてみました。
先に結論
サンプリングのデータが少し古いので先に結論。
「複数の証券会社に口座開設する」のを奨めているのは
結局のところ「アフィリエイト報酬」が目的だと考えます。
まー、口座を開設しないと IPO 銘柄への抽選に申し込めないですからね。
そのサイトなりブログなりがアフィリエイト目的かどうか見極めるポイントが 2 点。
・証券会社へのリンクが「アフィリエイトコード」になっていないかどうか。
たとえば、SBi 証券へのリンクにカーソルを合せてみると
普通だと「https://www.sbisec.co.jp/」のようなリンクが貼られていると思います。
これが何かしらの暗号と思えるようなリンクが表示された場合には、
その記事に書かれている内容は疑ったほうが賢明。
アフィリエイトの規約で
「誰でも簡単に儲けられる」「必ず儲かる」「負けない」「損しない」と表記するのは、
規約違反になりますので・・・。
・百歩譲って儲かったという実績を自撮りなどで取った取引結果をあげているかどうか。
初値で売り抜けると大儲けできるのか?
期間:2013 年 1 月~2015 年 3 月 20 日までに IPO 上場した物を対象
銘柄数:141銘柄
利益率の計算式:上場初値÷公開価格(%)
0%以下:11.35%
0%~30%:30.50%
利益が出た銘柄のうち利益率下位80%の銘柄全体のの平均利益率:62%
年率換算にすると約27%
預貯金の利率と比べると大きな利益だと思います。
ただ、「大儲け」とは言えないですよね。
しかも、損をする確率が10%もあるわけで、安全な投資とも言えないと思いませんか?
利益率 | 件数 | 比率 | |
500%超 | 1 | 0.71% | 88.65% |
500%以下 | 2 | 1.42% | 87.94% |
450%以下 | 2 | 1.42% | 86.52% |
400%以下 | 2 | 1.42% | 85.11% |
350%以下 | 5 | 3.55% | 83.69% |
300%以下 | 5 | 3.55% | 80.14% |
250%以下 | 6 | 4.26% | 76.60% |
200%以下 | 2 | 1.42% | 72.34% |
190%以下 | 0 | 0.00% | 70.92% |
180%以下 | 2 | 1.42% | 70.92% |
170%以下 | 3 | 2.13% | 69.50% |
160%以下 | 1 | 0.71% | 67.38% |
150%以下 | 0 | 0.00% | 66.67% |
140%以下 | 7 | 4.96% | 66.67% |
130%以下 | 8 | 5.67% | 61.70% |
120%以下 | 4 | 2.84% | 56.03% |
110%以下 | 3 | 2.13% | 53.19% |
100%以下 | 2 | 1.42% | 51.06% |
90%以下 | 2 | 1.42% | 49.65% |
80%以下 | 9 | 6.38% | 48.23% |
70%以下 | 3 | 2.13% | 41.84% |
60%以下 | 5 | 3.55% | 39.72% |
50%以下 | 5 | 3.55% | 36.17% |
40%以下 | 3 | 2.13% | 32.62% |
30%以下 | 8 | 5.67% | 30.50% |
20%以下 | 16 | 11.35% | 24.82% |
10%以下 | 19 | 13.48% | 13.48% |
0%以下 | 16 | 11.35% | 11.35% |
複数の証券会社に口座開設をすると当選確率が上がる?
IPO 投資を謳っているサイト・ブログ・情報商材でよくあるのが
「当選確率の上げ方」ですが、
その方法として、どこにも載っていることですが
「複数の証券会社に口座開設しましょう!」です。
結論から言うと・・・当選確率は上がりません(笑
単に抽選回数が増えるだけです。
各証券会社で抽選の方式も違いますし、なによりも応募人数も違います。
仮に3社の当選確率を10%と仮定すると
A社:10%
B社:10%
C社:10%
それぞれにおいて10%ですし、
3社の口座があるからと言って30%には、なるはずもありません。
次に「口座開設」対象証券としてよく挙げられているのが以下の6社
- 岡三オンライン証券
- SBI証券
- カブドットコム証券
- GMOクリック証券
- 松井証券
- マネックス証券
- 楽天証券
ちょうど今週 10 社ほどのIPO上場がありますので、
上記 6 社全てに口座を開設した時の効果を調べてみました。
http://info.finance.yahoo.co.jp/ipo/
主幹事証券・引受証券に選ばれた回数は、以下のとおりです。
- 岡三オンライン証券:5 回
- SBI証券:9 回
- カブドットコム証券:0 回
- GMOクリック証券:0 回
- 松井証券:0 回
- マネックス証券:5 回
- 楽天証券:0 回
サンプル数が10社なので、
もっと銘柄数を増やせば効果があるのかもしれませんが
今回に限っては、効果薄。
最後に当選口数が、どのくらいあるのかを調べてみました。
先ほど同じく以下から引き受け株数を抜き出して表にしました。
ちなみに株数=当選口数とはなりません。
日本は、単元株制度を採用しているので1株単位では購入することができません。
最近上場してくる IPO 銘柄は1単元100株となっています。
なので、引き受け株数と合わせて当選口数も算出してみました。
http://info.finance.yahoo.co.jp/ipo/
結果は後で確認していただくとして
結果をまとめると「主幹事証券」でないと多くの口数がないことが分かるかと思います。
たまに「引受証券」であっても口数が多い場合がありますが
それは、公開株数総数が多いので分配された株数が多くなっただけです。
「公開価格で買って初値で売り抜ける」戦法を取る場合には
市場に出てくる株数が少ないほど高く売れる傾向が強いので
口数が多いからと言って、大儲けできるとは限りません。